2025年には5人に1人、高齢者の約20%が認知症になるという推計があります。認知症の要因は加齢にあることから、超高齢社会で暮らす私たち誰もが認知症になりうるのです。認知症を持つ高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるようにサポートします。

多職種・他事業所との連携を密に図ります

家族支援や認知症の初期段階あるいは状態変化時における観察や判断をします。ケアマネージャーや主治医など多職種と地域連携を行い、自分らしく暮らせるように支援します。

認知症を持つ方との関わり方

認知症の利用者本人との接し方や言葉遣いなど、ご家族の方は悩まれることが多くあると思います。近年では、「バリデーション」や「ユマニチュード」といった、コミュニケーション方法が認知症の人への接し方も有効と考えられています。専門的知識を持つ私たちが、どんな悩みにもご相談に乗るので、お気軽にお問い合わせください。

認知症の方が好む行動と嫌う行動

認知症の方が好む行動や考え方
・安心できる場所を求める
・安心できる人との関わりを求める
・自分ができることは自分からすすんで積極的にやりたい
・昔の栄光や得意だったことを認めてほしい

認知症の方が嫌がる行動や考え方
・いつもと違う場所で過ごすこと
・いつもと違う人に関わること
・「できない」と否定されてしまうこと
・新しいことを覚えなくてはいけないこと

認知症の人は自分ができることと、自分ではできないことを見分けることができません。そのため、運動する能力が低くなっていることを分からずに「安全」を無視した行動をすることがあり、転倒しやすくなります。その他、よく起きることの例としては、料理をしようと鍋に火をかけるが忘れて焦がしてしまうなどもあります。看護師の視点として、どこまで認知症状が進んでいるか、生活スペースや環境に危険はないかなど注意して観察、サポートします。

 

認知症の方への接し方のポイント

認知症の方への接し方として「嫌がることを強要しない」が重要です。認知症の人は、自分が嫌がることを強要されると、※周辺症状が強く出る傾向があります。逆に、自分が好む行動を続けていられるうちは、周辺症状が強く出にくい傾向があります。

※周辺症状:徘徊・多動・不潔行為・収集癖・暴言・暴力・介護への拒否。精神症状(不安・抑うつ・妄想・幻覚・誤認)などのこと

  • 孤独感(ひとりぼっち感)を味わう
  • 本人のペースを乱す
  • 冷たくあしらわれる
  • プライドを傷つけられる

ということを嫌います。上記のような接し方をすると周辺症状が強くなり、ご本人にとってもご家族にとってもつらい生活になってしまいます。

馴染みの関係を作る
人は誰でも、知らない人がそばにいると緊張して不安になります。普段から馴染み深い関係だと本人はリラックスできます。そばにいるだけではなく、お互いに話をしやすい「馴染みの関係」を形成しましょう。

孤独感を感じさせない
認知症の方が大声を出したり、うろうろと歩き回ったり、暴力を振る背景には、孤独感を感じ、不安やストレスから生じると言われています。「馴染み深い人が近くにいる」「いつも話しを聞いてくれる」と感じることで穏やかに過ごせるようになります。

本人のペースを乱さない
目をみてゆっくりお話する。焦らず焦らせずにご本人のペースに合わせる。時には「大丈夫ですよ」と声をかけることで、ご本人が安心して物事に取り組むことが出来るようになります。

プライドを傷つけない
怒られることは、誰しも嫌ですよね。認知症の方も同じです。そして認知症の記憶障害は、物事や言われたことを忘れていても、感情的な記憶は残っていると言われています。つまり怒られた事実は忘れてしまっても、怒られたことによる「屈辱的な気持ち」は覚えているのです。

反対に言えば、出来る部分はご自身で行ってもらったり、出来たことを認める、褒めるというような関わり方は、自己肯定感を高く保つことができ、ご本人の中で良い感情として残るということです。

無理をせず、適切な社会資源を活用しましょう

ひとくくりに認知症と言っても、症状がどのように、どの程度出現するかは大きな個人差があります。認知症の症状には複雑で幅広い要因が絡み合っており、確実に「適切なケアで防げる」とは言い切れないのも現状です。
時にはご本人とともに、症状のあるがままを受け止め、適切な支援を受けながらうまく症状と付き合っていくことも必要になります。
そんな中でご家族は、不安や不満・悩みや疲れを抱えてしまうことがあると思います。思いつめてしまう前に、ケアマネージャーや訪問看護ステーションに一度ご相談ください。ご家族を含めてご本人の生活を一緒に考えていきましょう。